今回は、高校生向けに「ラグビーボールの磨き方」のコツを教えたいと思います。
ボール磨きは、新入部員が必ずやる仕事の一つです。ラグビーをやる上で、ボールというのは、一番大事なものと言っても過言ではありません。
ボールを大事にしないと、ボールに嫌われてしまって、パスミスをしたり、キックミスをしてしまうかも?しれません。
それに、練習を始める時にボールが綺麗だと気持ちがいいし、やる気も出てきますよね。
ですから、「ボール磨き」を疎かにせず、練習が終わったら必ず磨きましょう。
革製のボール磨きのコツは牛乳を使う!
現代のラグビーボールはゴム製ですが、私の高校時代は革製のボールでした。
4枚の革を縫い合わせたもので、中にゴムのチューブが入っていました。
革製のボールの磨き方ですが、なんと唾をつけて軍手でこすって磨いていました。これが良く光るんですよね。
但し、コツがあって、革の目に沿ってこすります。逆目にこすっても絶対に光りません。それを知らないで一生懸命こすってる人もいました。
当時は、一人でボールを5~6個くらい磨くんですが、2個くらい磨くと唾が出なくなります。
それで、どうするかと言うと、なんと牛乳の登場です。
この牛乳を口に含んでボールに吹きかけてこすると、これがよく光るんですよね。誰が発見したのかわかりませんが、有難いものでした。
そして、一番最悪なのが雨の日の練習です。昔は土のグランドが普通でしたので、雨が降るとグランドがぐちゃぐちゃになり、ボールも泥だらけになります。
この場合、ボールの磨き方は以下の段取りで行います。
①ボールに付いた泥を水で洗い流す。
②ボールを拭いてから空気を抜く。
③コインランドリーの乾燥機でボールを乾かす。
④ボールに空気を入れる。
⑤ボールに唾をつけて磨く。唾が出なくなったら牛乳を口にふくんで更に磨く。
上記で一番大変なのが、やはり⑤です。ボールを乾燥機にかけるので、革がカピカピになります。
そうすると、革の油分が完全になくなるので、通常の唾の量では全然光らないのです。
そこで、牛乳が登場する訳です。牛乳を口にふくむと、口中が潤って復活します。
でも、これを繰り返しやっていると、すぐに1リットルの牛乳パックが空になってしまいます。
ほんとに大変な時代にラグビーをやってたなあと思います。
ゴム製のボールはタワシで磨いてはダメ!
それでは、現代の「ラグビーボール磨き」はどうかと言うと、とても楽になったと言えます。
なぜなら、ゴム製のボールになったので、革製のボールのように唾で磨いて光らせる必要がなくなったからです。
大抵の汚れは、濡れタオルでこすれば簡単に落ちます。しつこい汚れは、洗剤をつけてこすってから水で洗い流せば綺麗になります。
以下が、磨き方の手順です。
①ボールに付いた汚れを濡れタオルでこすって落とす。
②落ちない場合は、洗剤や汚れ落としをつけてタオルでこする。
③水で洗い流して乾いたタオルで拭く。
これで、ほぼ綺麗になります。簡単ですよね。
但し、ここで注意することがあります。
それは、汚れを落とす時にタワシ類でこすらないことです。
ゴム製のボールは、滑らないように表面がザラザラしてますが、これをタワシのような固いものでこすってしまうと、ザラザラが削れてしまい表面がツルツルになってしまいます。
滑らないのがゴム製ボールの最大のメリットなので、これは絶対やってはいけません。
実は、私の高校時代にもゴム製のボールはありました。
ただ、公式試合球としては認められていなくて、雨の日の練習試合用にチームに2個くらいあったと記憶しています。
当時、このゴム製ボールが原因で、ある事件が起こりました。
それは、雨の日の練習でゴム製ボールを使ったのですが、翌日も天気が悪かったのでゴム製ボールを使うことになりました。
すると、ある先輩が「ボールがツルツルで滑るぞ!」と言いました。
そして、すぐさま「1年生集合」と号令がかかり、先輩から説教を受ける羽目になったのです。
昔は、全てにおいて連帯責任でしたので、誰かひとりが問題を起こすと皆が怒られる制度でした。
今の時代は、連帯責任というのは無くなったと思いますが、これはこれで自分のせいで仲間に迷惑は掛けられないという責任感は生まれたので、いい面はあったと思います。
結局、誰が磨いたのかは迷宮入りでしたが、きっとタワシでこすったのだと思います。
皆さんも、タワシでこすらないよう、くれぐれも気を付けて下さいね。
以下の動画は、ラグビーボールではなくサッカーボールの磨き方です。
最近はラグビーも土のグランドより人工芝が多くなってきているので、人工芝特有の黒ずみ汚れの落とし方として参考になればと思います。
ゴム製のラグビーボールでしたら、最初に洗剤を付けたスポンジでこすれば、ほとんどの汚れは落ちると思います。
それでも落ちない頑固な汚れについては、ゴム素材用の汚れ落とし剤をタオルに付けてこすれば、確実に綺麗になります。
是非、お試しください。
たかがボール磨き!されどボール磨き!
如何でしたか?参考になりましたでしょうか。
”たかがボール磨き、されどボール磨き”です。
「ボール磨き」という小さな仕事ではあるけれども、この小さな仕事をきちんとやり遂げることが大事です。
そして、ボールを綺麗に磨いたからと言って、ラグビーが上手くなる訳ではありません。
しかし、日頃からボールを磨いて大事にすれば、きっと神様が見ていて、パスが上手くなったりキャッチングが上手くなるような気がします。
私は高校時代、ある試合後に、監督から「ラグビーとは何だ?」と問われたことがありました。
私が答えに困っていると、監督が「ラグビーとは、ボールだよ」と言いました。
私は初め、その意味がわかりませんでした。
あとでよく考えてみると、その試合で味方が蹴ったボールを、私は一生懸命追いかけてキャッチしトライをとることができました。
ラグビーボールは楕円球なので、どこに跳ねるかわかりません。
だからこそ、最後まで諦めずにボールを追いかけることが大事です。
おそらく監督は、最後まで諦めないで頑張ることの大切さを言いたかったのだと確信しています。
私は、当時の監督からラグビーの技術的なことを教わった記憶がありません。
ラグビーを通じて、人生の生き方のようなものを教わったと思っています。
それも直接的ではなく、間接的に自分の頭で考えさせるような言葉を投げかけてくれました。
だから、答えはひとつではなく、各自の解釈によって何通りもの生きていくための知恵を与えて頂きました。
たかだかボールひとつとっても、いろんなことを教えてくれます。
ラグビーにとってボールとは、一番大事なものだとあらためて実感します。
なので、ボール磨きをしっかりやらないといけないんですね。
私の場合、現役時代に毎日欠かさずやっていたことがあります。
それは、”スパイク磨き”です。
私は、スタンドオフでボールを蹴る場面が多かったので、「キックが上手くなりますように」と願いを込めて磨いていました。
効き目があったかどうかわかりません。
要は気持ちの問題なんですよね。
そういえば、うちの高校生の息子も、毎日サッカースパイクを磨いています。
皆さんも、きっとそういうゲン担ぎみたいのありますよね。
それでは、ボール磨き頑張って下さい。
ご感想など頂けると嬉しいです。
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